#002 続報

 
続報

乳児治療放棄 福岡県警「新健康協会」を捜索 容疑者の夫妻入信
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/146110
 
 福岡市東区の夫婦が生後7カ月の長男に適切な治療を受けさせずに死亡させたとして、殺人容疑で逮捕された事件で、福岡県警は14日、関係先として、夫婦が信者となっている同区唐原6丁目、宗教法人「新健康協会」(清村秀生会長)の総本部を家宅捜索した。

 県警は13日、アトピー性皮膚炎などを患っていた長男嘉彦ちゃんに適切な医療行為を受けさせずに昨年10月に死亡させたとして、ともに同法人職員の高月秀雄容疑者(32)、妻の邦子容疑者(30)を逮捕した。家宅捜索により、法人の教義の内容や夫婦の信仰の実態を解明する方針。

 県警や同法人の関係者などによると、容疑者夫婦の信仰歴は20年以上。同法人は近代医療を否定する教えがあり、信者が手をかざせば病気が治癒するという「浄(じょう)霊(れい)」や、農薬・肥料を一切使用しない自然農法を提唱している。夫婦も嘉彦ちゃんの育児で実践していたという。

 同法人は1947年、宗教法人「日本観音教メシヤ会」として発足、名称変更などを経て2008年に新健康協会となった。活動拠点は国内外に76カ所。会員は08年末現在で約8000人、職員は約190人という。

 家宅捜索は、14日午前9時ごろ、捜査員約40人態勢で着手。同法人の顧問弁護士は「事実関係が把握できていないのでコメントできない」としている。

 また福岡市によると、市が取り組む保健師らによる家庭訪問事業で昨年5、9月、両容疑者宅を訪ねた際、邦子容疑者から「手が離せない」などと断られ、嘉彦ちゃんには会えなかったという。市の担当者は「具体的情報がなく、虐待として把握していなかった。事件が起こったのは残念」と話した。
 
■2010/01/14付 西日本新聞夕刊
 
 
乳児死亡3、4日前に意識障害 福岡、逮捕の両親供述
 
 重いアトピー性皮膚炎の生後7カ月の長男に治療を受けさせず、感染症で死なせたとして殺人容疑で逮捕された宗教団体信者の両親が、福岡県警の調べに「長男は亡くなる3、4日前から意識障害があったが、そこまで放置していたことを医師からなじられると思い、119番するのが遅れた」と供述していることが14日、捜査関係者への取材で分かった。

 逮捕されたのは、宗教団体「新健康協会」信者で職員の高月秀雄容疑者(32)と邦子容疑者(30)。長男嘉彦ちゃんは昨年10月、低体重とアトピー性皮膚炎の悪化から感染症にかかり、敗血症で死亡した。

 県警によると、両容疑者は嘉彦ちゃんを手かざしによる「浄霊」で治そうとしていた。ほかの信者も手かざしをしていたが、両容疑者は「長男を病院に連れて行くべきかどうか、ほかの信者には相談していなかった」と話しているという。

 県警によると、嘉彦ちゃんは亡くなる約1カ月前からミルクを十分飲めなくなり、衰弱していたとみられる。死亡時の体重は同じ月齢の子と比べ半分ほどしかなかった。

 県警は14日、両容疑者の関係先として、福岡市東区新健康協会総本部を家宅捜索した。
 
■2010/01/14付 西日本新聞
 
 
乳児治療放棄 信仰優先し受診拒否か 母親 「浄霊効かず死を予感」
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/146661
  
 福岡市の乳児治療放棄事件で、殺人容疑で逮捕された宗教法人「新健康協会」の信者で職員の高月邦子容疑者(30)が「いくら浄霊(同会が提唱する健康法)をしてもよくならなかったので、長男が死ぬのは分かっていた。医者に見せると信仰と矛盾するため病院に行かなかった」と、福岡県警の調べに供述していることが16日、捜査関係者の話で分かった。

 捜査関係者によると、共犯として逮捕された夫の秀雄容疑者(32)も同じ趣旨の供述をしているという。県警は、夫婦が長男への医療行為の必要性を感じながらも、教義上医療を否定する信仰を優先したことが長男の死亡につながったとみて調べている。

 県警によると、長男の体重は出生時3・4キロ。生後3カ月には約6・7キロになったが、アトピー性皮膚炎を発症した影響などで次第に減り、死亡した7カ月時には、平均体重の半分程度の4・3キロしかなかった。

 夫婦は、新健康協会で地位の高い信者から、手かざしで病気を治すという浄霊をしてもらうなどしていたが、医療機関には連れて行かなかった。長男は死亡の数週間前には容体が悪化し、死亡数日前には母乳がほとんど飲めなくなり、意識障害も起こしたという。

 邦子容疑者は「浄霊を続けるか病院に連れて行くか葛藤(かっとう)があり、時間が過ぎて死んでしまった」と供述しているといい、県警は、夫婦が信仰だけでは治らないことを認識していたとみている。

 一方、夫婦の弁護人で新健康協会の顧問弁護士は「法人は教義上、近代医療を否定しているが、病院に行くかは個人の自由。夫婦は、長男が死ぬとは思っておらず殺人容疑を否認している」と話している。
 
■2010/01/17付 西日本新聞朝刊

 

ほかの信者も「治療」に参加=医療放棄の長男殺害−福岡県警
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201001/2010011400047
 
 生後7カ月の病気の長男を、宗教上の理由から病院に連れて行かずに死なせたとして、福岡市東区の宗教法人「新健康協会」職員の夫婦が殺人容疑で逮捕された事件で、同協会のほかの信者が長男の「治療」にかかわっていたことが14日、福岡県警東署捜査本部への取材で分かった。
 捜査本部は同日午前、関係先として、夫婦が勤務する同協会総本部を家宅捜索した。
 高月秀雄(32)、邦子(30)両容疑者は、長男嘉彦ちゃんが生後2、3カ月でアトピー性皮膚炎を発症し、細菌感染で重篤な状態になったにもかかわらず、協会の教義に従って手をかざすことで病気やけがを治すという「浄霊」や、「御霊紙」と呼ぶ和紙を張り付けるなどしただけで、病院には連れて行かず、敗血症で死なせたとされる。
 捜査関係者によると、ほかの信者数人も両容疑者の自宅を訪れ、浄霊を行っていた。夫妻だけでは嘉彦ちゃんの症状が改善しなかったため、協会の中でも「より力がある」とされる信者が加わった。
 
時事ドットコム(2010/01/14-10:38)