2005-12-01から1ヶ月間の記事一覧

フィードバックレポート

ブログ文化論争関連の記事をまとめました。 私のメモも付いていますが、ご指摘があれば修正・削除・加筆いたします。 【わたりとり】 2005/12/14 イヤな奴とはこんな奴 <memo>論争の発端となった記事。「異文化」「流儀」「私達」「彼ら」 <TB→>[Web] はてなとYahoo! BL</tb→></memo>…

名付け評する私の心

以下は、12/14の記事(ブログ文化論争の発端)を書いてから私が辿った「名前」にまつわる思考の軌跡です。 【12/14からの軌跡】 どうやっても「怒り」を自制できない「現象」が、私にはある。 偏見・蔑視・差別。人の心根に必ずあるものを否定はしない。私の…

二十四人の話者

わたりとりの書庫へようこそ。 全然ほっとできない栞 第十八弾です。 ブログ文化論争の一考察です(経緯の説明は面倒なので省略) 我らが言語と表現の神様(chargeupさんのこと)が命名した「説教族」。 連日のブログ文化論争に登場し、名脇役(?)を演じて…

25.新しき人々#12

姿勢を崩さないウィルを眺め、彼はやれやれと溜息をついた。 「わかったよ。今日はおとなしく帰るから、もう邪魔すんなよ!」 彼はそう言って、仲間達とともに竜を起こしに掛かった。 大騒ぎしてやっとのことで起こされたパルヴィスは、物凄く不機嫌だった。…

25.新しき人々#11

男達の輪が崩れた。 こちらを向いたままじりじりと後ずさってゆく。誰だあれは? 竜使いだ、カピタルの――と彼らが囁きあう口元が見える。一人が大鉈を構えた。ウィルは我知らず銃の筒先を彼の胸元へ向けた。腕に、エヴィーの腹を挟む脚に力が入る。エヴィー…

25.新しき人々#10

百リールほど向こうだ。木々の幹の向こうに十数人の男達が小さく見えた。ニッガの大木を取り囲んでいる。何をしているんだろう。 ウィルは銃に手を伸ばした。念のためだ。鏑弾(かぶらだま)を込めエヴィーに耳栓をし、ゆっくり近付いた。下草がカサカサ鳴る…

25.新しき人々#9

ぶんぶん首を振るウィルに、ガランは言った。かすかに笑っている。 「君はずいぶん彼らを嫌っているようだね。ハヴェオのことも、かな。君の方が彼らに歳は近いというのに、不思議だ……まあいい。とにかく、私の気持ちはこの通りだ。それが君達や子供たちのた…

25.新しき人々#8

ガランは立てた指をテーブルに置き、コツコツと叩いた。頭の中を整理しているように見える。 「君は知ったそうだな。我々が食料をどうやって手に入れているか。ソディックからそう聞いている。では率直に語ろう。カピタルの人口はどんどん減っていった、それ…

25.新しき人々#7

確かに彼らと自分達はまるで違う。けれど――似ている奴がいた。ウィルはそう思った。彼らのやりくちのひとつが、ある男にそっくりだった。ハヴェオのやりくちに。それが許せない。ただそれだけで、卑劣な奴らだという気がする。あいつらは敵だという気がする…

25.新しき人々#6

村の東でどんなことが起きているのか、西はずれからはうかがえなかった。ガランからの使いも来ない。 「これから先、どうなるのかしら」 休憩するたび、ラタはそんなことを言った。 どうなるのか、誰にもわからなかった。ただはっきりしていることは、半年も…

25.新しき人々#5

「ソディック!」 ガランの鋭い声が飛んだ。ソディックが口を閉じる。だがもう遅かった。 ファリウスの顔が、向こう側の全ての顔が、はっきりと歪んだ。まずい、と感じる暇も無く、ファリウスは椅子を鳴らし立ち上がった。 「竜がいないから、なんだというの…

25.新しき人々#4

横でハヴェオがかすかに動いた。ファリウスは続ける。 「こんな布の下で話をするのも腹ただしい。確かに招いてもらった恩義には感謝しよう、だが恩を売ろうというその了見が鼻に付く! あなたがたの方が先に着いたからといって、この森は、あなたがただけの…

25.新しき人々#3

「地図?」 ファリウスと紹介された女リーダーの目付きが変わった。 「森の地図があるのか。早急にいただこう。どこにある」 「まだ探索半ばだ。彼一人で描いているのでな。半分も埋まっていないのだが……」 「半分でもなんでもいい。後はこちらで埋める。見…

25.新しき人々#2

ハヴェオのもとに駆け寄ると、彼はテントの戸布を巻き上げた。 中に入る。十数名の視線が自分に吸い付いた。ウィルの視線はさ迷った。カピタルの人間はどこだ? どこを見ればいい? 右手にガランが座っていた。傍らにソディックが立っている。右手にいるのは…

25.新しき人々#1

満月の夜は不気味なほど静かだった。 ウィルとハルは自分達のテントで息を殺すようにして一夜を過ごした。村中の人間がそうしている気配を感じた。 村の東はずれ――レオン・セルゲイのテント向こう――に布陣したという例の共同体の気配はしなかった。自分達の…

イヤな奴とはこんな奴

わたりとりの書庫へようこそ。 栞でほっとひと息 第十七弾です。 今回は、釣れちゃった、という話。 前回の栞「トラバ貸借」を書きながら、私にはひとつの目論見がありました。 最近、ブログ論系ブログで「はてなブックマーク 」というソーシャルブックマー…

トラバ貸借

わたりとりの書庫へようこそ。 栞でほっとひと息 第十六弾です。 今回は、借りは返さにゃ気が済まねぇ、という話。 らぶさんの記事「こんなトラックバックはイヤだ。」そのリンク先である「越後屋的トラックバックの分類のメモ」を読んで、いろいろ考えまし…

24.敵か味方か#13

彼らが地平線の向こうに現れたのが、ニ日前の昼。遠くにぽつんと見えていた黒い塊が次第に大きくなり、彼ら一人一人の姿が見えはじめたとき、カピタルじゅうの者が熱狂した――新しい仲間、思ってもいなかった希望が、メルトダウンの前に見つかったと喜んだ。 …

24.敵か味方か#12

「どうしちゃったんだよ。変だぜ、二人とも」 呆れたウィルが椅子に座って首をふっている間に、ラタは家の周りに人がいないか見回し、戸口に閂(かんぬき)まで掛けてしまった。 「そこまでするほどの話なのか」 唾をのみこんだウィルに、ハルはうなずいた。…

24.敵か味方か#11

トンネルの中ほどまで来た所で、異変に気付いた。 マカフィ達が大きく間口を広げたトンネル。ずっと向こうのほうで、半円形の窓のように風景が切り取られ、カピタルの村がのぞいている。その半円を横切って歩く竜がいた。右から左へ、左から右へ、行ったりき…

24.敵か味方か#10

我に返った。 一瞬、ビリー・ヒルの怒ったような顔がよぎった。 「あ、いや……俺は、誰がリーダーでも自分の任務はやりとげる、でも、あなたの都合のいいように動く気はありません。……帰ってください」 ――ハヴェオは顔をそむけ、逃げるように帰って行った。 …

24.敵か味方か#9

ハヴェオの動きが止まった。 ウィルも口をつぐんだ。表で人の気配がしたのだ。 誰かはわからない。だが見当はつく。こんな大声で怒鳴り合って、周りに聞こえないわけない。聞き耳をたてているのはエマおばさんか、他の誰かか。明日には村中に噂が広まるだろ…

24.敵か味方か#8

ぐいっと袖を引かれた。はっと振り向くと、ハルが袖を掴み言った。 「それだ。僕はわかった」 「言ってくれ。もう少しでわかりそうなのに、俺、捕まえられないんだ」 二人のやりとりを不審顔で聞いていたハヴェオに向きなおり、ハルは驚くほど厳しい、固い声…

24.敵か味方か#7

「重要なことって何ですか」 ウィルは思いきって聞いた。 「まだ話せない。君達の口が固ければいいのだが、噂になると困るからな。ほら、わかるだろう。みな、なんというか――噂が好きだろう? 用心せねば」 「よく言う。それを利用したくせに」 ハルが呟いた…

24.敵か味方か#6

シールド・ポールができたのはごく最近で、それまで、メルトダウンから身を守るにはポールが必要だということはガランとソディック二人だけの秘密だった。ということは、父さんは知らなかったはずだ。ガランだって言っていた。まだ時間があるとサムには伝え…

24.敵か味方か#5

特別あつらえのテント一式と皮袋いっぱいの大荷物を積み、ウィルは久しぶりに休憩所を訪れた。 ただでさえ大荷物なのに、さらに食料も水も四日分ある。さすがに重い。エヴィーの足取りも鈍った。朝カピタルを出発してゆるゆると走り、休憩所に着いたのは日が…