2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧
1day,1page 読者のみなさまへ。 創作小説「Capital Forest」完結までお付き合いくださり、誠にありがとうございました。 また、お祝いの言葉、ねぎらいの言葉、おもしろかったというお褒めの言葉をくださったみなさま、本当にありがとうございます。ありがと…
Capital Forest 創作小説です。完結しています。 更新に手間のかからないブログを活用し、毎日更新というスタイルで連載しました。 (連載期間:2005/2/18 - 2006/10/17 連載日数:535日) 現在は、推敲したものをHTMLページで公開しています。 ◆「Capital F…
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに準拠し、以下の要件で「Capital Forest」全文章を開放します。 http://i.creativecommons.org/l/by-nc/2.1/jp/88x31.png クリエイティブ・コモンズ(表示 - 非営利) タイトル : Capital Forest 著作者 : わたりとり …
「Capital Forest」ダウンロード版の修正履歴です。 ダウンロードしてくださった皆様、ごめんなさい。本当にごめんなさい。 こんな記事のコメント欄が空けてあるその理由は・・・はは。ははははは。(他力本願) 【修正履歴】 ・2006/10/20 HTML版209ページ…
2005年2月に連載を開始した創作小説、「Capital Forest」。 昨日、535記事をもってやっとこさ完結しました。は~^^; まずは、最後まで見届けてくださった読者様に、御礼申し上げます。 完結する保証のない、どこの誰が書いているかもわからない一個人の空…
暗闇は三日三晩続きました。いいえ、三日だったかどうかもわからない。その間、朝も夜も来なかったのだから。ただ、竜が三度眠り、三度目を覚ましたから、三日だろうと思えるだけです。 私たちはメルトダウンの瞬間をずっと恐れてきた。きっと一瞬で世界が溶…
ソディックの一声が返って来た。 「作動させた」 森の果てに目を凝らす。ウィルは南を。シンは北を。 ああ、確かに。360度、森のふちをぐるりと囲み、あの色がせり上がってきた。白でも黒でもない、光でも闇でもない色。ゆっくりと、じりじりと。 風の音ばか…
眼下に広がる眺め。どこまでも続く森の緑。 はるか遠くに光の筋がきらめき蛇行している。ああ、あれはバルワ大河だ。ここから見えるなんて。南東のけわしかった山岳地帯、その頂(いただき)に薄い雲が掛かっている。東の伸びやかな丘陵地帯。ここからは蒼み…
壁がスッと消えたその先に、箱型の空間が現れた。ここに入れば上へ行けるのか。片足を踏み入れる。と、ファリウスの声が遮った。 「待て! その装置は使うな、出ろ、早く!」 めまぐるしく変わる指示にふらつくウィルの襟首を、シンが掴んで引き戻す。「どう…
ファリウスの声。 「壁に並んでいる装置を破壊しろ、徹底的に!」 シンと部屋に駆け入る。視線を下に戻す。壁――休憩所の地下にあった装置と同じだ。丸くカーブする壁全面に黒いスクリーン、その下に延々と連なるパネル、誰かを待って整然と並んでいる椅子、…
スイッチを入れたコムから、ソディックのしゃがれ声が響いた。 「解読完了! 開けるか?」 「いつでも!」 シンの返事に即答し、正面の壁が一瞬で消えた。 二人の前に、扉と同じ幅の廊下が暗く長く伸びている。銃を握り、一歩踏み込んだ。踏み込んだ数歩先ま…
「リラックス……歌でも、歌おうか?」 最後の「か?」が甲高く裏返った。無理して強がるんじゃなかった。最悪だ。 シンの微笑が、ニヤニヤ笑いに変わった。 「そういう冗談がさまになるには、あと十年は要るな。パドに教わるといい」 「いやだ。パドが喜ぶじ…
太陽が中天を極める直前、ウィルはシーサとともに森の中心点に駆け着いた。 南北を貫く白い道から、東へ分岐した細道へ。ゆるやかなカーブを曲がったところで、密な木立がぱっと途切れた。 開けた空間に、例の構造物が鎮座していた。夏の青空を突き、一直線…
部屋は鎮まりかえった。 ウィルは口を開きかけ、また閉じた。ハルのこんな気持ち、あの地図にさえ書かれていなかった。誰が見るわけでもない紙にすら書けないくらい、ハルはその気持ちを押し殺してきたんだろうか。俺にできることがあるのだろうか。いいよ、…
ハルはふうっと息を吐いて、なにを思ったか、かすかに笑った。 「自分でも驚いた。僕がこんなに臆病だったなんて……こんな小ずるいことを平気でやるなんて……でも、これが僕なんだ。その後、ウィルが竜使いになって、毎日森に入るようになって。僕に森の話を聞…
「……そんな……僕、そんなつもりは……」 ハルの口から、とつとつと言葉が漏れた。 「なんの気なしに……言って、しまった。帰ったら、エヴィーが、起きていたから。嬉しかったから。今度は、ウィルの番だって、エヴィーを、撫でて、そして、」 「そして?」 「『…
「悪いとは思ったけど、どうしても見つかりたくなかった」 「それで、それで――エヴィーに乗った、乗れたんだな」 「そう」 ハルの声に、ひととき暖かい力がこもった。 「あのときの気持ち、いまでもはっきり覚えてる。絶対に無理だと思ってたことが、ひっく…
「ハルの、誕生日か」 ハルはうなずいた。一年前は、二人とも、ウィルの誕生日だと思っていたその日。 「ウィルが騎乗試験を次ぎの日に延ばそうって言い出して、決めてしまった。僕はいやだと言ったのに。覚えてる?」 もちろんだ。翌日のハルの誕生日を待っ…
ハルと視線が咬み合う。すべての感情をしまい込んだ顔。ハルは口だけを動かした。 「何を言っているのさ」 「ハル、もういいんだ」 ウィルは、自分のこころが震えていることに気づいた。足が浮ついていた。声は上ずっていた。 ハルと自分とを結ぶ糸の束は、…
移住区の東はずれに、ビリー・ヒルが告げた木組みの家はあった。 テント群から少し離れ、玄関が移住区の外に向けて建てられている。 手近なニッガの根元で手綱を放し、シーサに待っていろと言い含めた。シーサは鼻をパクパクさせ、その場に留まった。今なら…
ウィルはランプを右手に、移住区の外を周り東へと歩いていた。 左手にはシーサの手綱。シーサはおとなしく後ろを付いてくる。ときどき首をぐっと高く伸ばすのは、欠伸がわりか。ライトはシーサの背に積んである。明るすぎるからだ。 雨は止んでいた。夜明け…
私はこういうことをたいせつにして表現したい。 自ら行うこと。こころを込めること。出来上がりにこだわること。素朴であること。率直であること。やすらぐこと。快いこと。豊かであること。 本質から派生した「とりまくもの」をも味わうこと。そのひとつひ…
しろひちひさひ はなのちりゆく そめひよしのの なみきみち ちちははこらと わかれてひとり ただひとりたつ はるのあさ ちりぢりわかれ まひおちながれ あめつちみずに とけあひてゆく つどひからさり ひとりしぬるも よきのよのならひと わらひゆく そめひ…
昨年、「わたりとりの談話室(私設掲示板)」でみやさんからいただいた質問、「わたりとりさんは、なぜ書く(創作する)のですか」にお答えします。 みやさんは、ここの最初の読者様です。 ※「麦太郎の旅妄想」続編では、「モノ書きの卵乙女」として登場して…