#035

#031に書いたとおり、系列宗派において手かざしの実践が医療ネグレクトに結びつき、子に深刻なダメージを与える「事実」があったなら、それは明らかにされて欲しい。そのような不幸は起こらないほうがよいけれども、事実がないまま「危険性」のみを報道で批判することは難しいだろうから*1、起こってしまった事実は検証材料として貴重だ。
 
「報道をきっかけに世間の偏見が酷くなること」は、おそらく回避できない。被害者が未成年の子であることを理由に、言いたい放題が展開されるだろう。手かざしの実践に一定の規制を掛けよという論、信仰者の親権になんらかの制限を付けよという論が出る可能性も、そう低くはないと私は予測する。
さすがに杞憂かなとも思うのだが。しかし、子どもの福利が損なわれる事件に対してはメディアの反応もネット上の反応もタガが外れやすい、感情的な論調になりやすい。しかも年々この傾向が強まっている、と私は感じる。
なんらかの規制による解決など私はまったく望まないし、また「信教の自由」原則をそこまであからさまに侵害する立法が検討されることは無いだろう(と信じたい)。それでも、問題を公の議論にさらすということは、そういった極論が出る可能性も含めて引き受けるということで、そこはまあ仕方がないかな、と私は思う。
 

*1:マスメディアが新興宗教のその特異性を即「危険性」に結びつけバッシングすることは少なくなった、と私には見える。#012「宗教的行為であっても、外部の人間から、社会との実質的な関わり合いにおいて、社会におけるその意味合い・影響の多寡・問題の様態について適正に論じられるべき」と私が書けたのは、(報道機関にもよるが)報道の姿勢に一定の信頼を置けるようになったから。統一教会オウム真理教等の事件を通して、報道機関側にも何かがあったのだろうと感じる。