#020 

 
しばらく個人的な話。
自分の興味で、私は高校で生物を選択した。いまでも生物学系の話題は面白く読んでいる。身体生理に関する基礎知識はだいたいそこから得た。しかし日進月歩の現代医学に詳しいわけではまったくない。免疫とかホメオスタシスとか染色体異常とかいう言葉が「科学的に」は何を意味しているか、どういった用語群に属しているかは判っている、という程度。
知らないよりはマシ程度の知識量だと思う。だが、この分野の基礎学習を履修せずに学生時代を終えるかたも少なくないはずであるし、自分の身体を扱うにあたって他人からことさら非難されるほどの知識不足ではない。
 
と思っていたのだが。成人して子を持って、自分が基本的なことをまったく知らなかったと知った。驚いた。私は、発熱・発汗・嘔吐・下痢といった症状には脱水の危険があることすら意識していなかった。「柔らかくて栄養のあるものを取ったほうがいい、食べられるなら」くらいの呑気さ。
体調不良を訴える人・慢性疾患を抱えている人が常に身近に居た環境だったにも関わらず。
 
世界救世教系列の信仰者は、よほど激しい症状でないかぎり、体調が悪化しても自宅で一両日ほど様子を見守ることが多い。
この対応じたいが問題かどうか、私はよくわからない。離脱後は医者に掛っているが、症状が出てすぐに受診しても、医者から「とりあえず水分を取って。薬を出します。2・3日しても続くようならもう一度受診を」と言われて帰されることのほうが圧倒的に多いので。*1
しかし、程度の軽い症状は自宅で経過を見守りたいとするならば、その間の基礎的な看護方法は身につけておかなければならないだろう。信仰者ひとりひとりの自己責任でそうするべきというのではなく、そのような対応を勧めている運営側がその責任において適切に教導するべきではないか、と思う。
 
他にも、
・乳幼児、高齢者は特にリスクが高く、体力のある成人と同等に扱ってはいけないこと。
感染症に罹った場合、本人も家族も感染予防の手段を講じること。
を、離脱後に知った。つまり宗派内で教導されていなかった。
 
系列の宗派は、その信条から、未成年の子に対して医療ネグレクトを起こしやすい。それだけでなく、医療側から見ればあまりに初歩的な知識の不足から、本来ならば自然回復するはずのさして問題のない症状であっても、手遅れの事態を招きやすい。その危険性を、自ら高めている。

*1:「薬を出します」は省いてくれてもよいのだが。処方なしでも私は満足して帰る。