#022

「子は親を選べない」と言うが、親も子を選べない。
選べない者同士でも、革めて他人に為ることはできる。
どちらかがそう望むならそう為るが善い、と思う。
 
親が子に向かって「今日から私とあなたは他人だ。あなたは私に何も期待するな」と決別することがあっていい。私自身が、親に向かって為したことなので。
 
親が子に向かって望むなら、言う時期の問題はある。
子が物心両面で自立すれば、かまわないだろう。自立していなくとも、自立するに足る能力をすでに備えたと第三者から認定されるところまできたなら、よいのではないかと思う。
  
子が親に向かって望むにも、言う時期の問題はある。
私が離脱したのは養育者が還暦を迎えるずっと前だ。まだ老いと死は迫っていなかった。